しかし何だ‥。
総じて現代日本人の自然科学に対する教養は、悲しいほど低水準である。
立派な大学を出て難関のマスコミに入り、他人に情報を分かりやすく伝達する職務についているはずの「報道屋」に至っても、同様に下の下である。
新燃岳が噴火した。「しんねんだけ」だと思っていたという眠たい奴が佃煮にする程世の中に転がっていることは容易に想像がつく。
群馬大学の早川由紀夫氏曰く「一世紀に日本で五回くらいしか起こらない大噴火」である。
終息するのは一週間後か、一ヶ月後か、一年後か‥専門家であっても想像がつかない。
現状が、最大値の何%であるかも分からない。
経験則から云って「今日が100%では無い」ということは割りと容易に想像がつく‥。
90%だったらいいが、10%だったらエライこっちゃ。小説『死都日本』が現実化してしまう。
霧島連山をGoogleMapで見てみれば一目瞭然、そこかしこにクレーター的な穴が点在している。
これら全部噴火の跡。(‥と云うより、みんな現役!)
云ってみれば『火山の巣』なのである。
そこが何故に火山の巣なのか?
過去はどうだったのか?
そして‥
白い湯気状の噴煙と灰色の噴煙が並び立つ今の状況をどう捉えるのか?
先日(一月二十七日)の噴火は誰が見てもブルカノ式噴火だった。
それは今後「噴煙柱崩壊による火砕流」が発生する可能性を強く示唆する《明らかな現象》であるのに、それをメディアに出て解説する専門家は一人もいない。
マグマが「熱で溶けた岩石」くらいにしか理解していないであろう「報道屋」は、怪我人や死人が出ない限り、まともに報じる気は無いらしい。
国費をドンと投入し、あるいは自衛隊の監視部隊を張り付かせ、監視カメラとセンサーとデジタル回線網を一気に拡充するくらいのことをやらんといかんのだけど、どうせ総理は『疎い』のだから仕方ないか‥。
少なくとも火山災害を避ける道は一つしかない。
早めに逃げることである。
その判断を遅らせる様々な要素を大急ぎで検証して、可及的速やかに対処すること。
これしかない。

「地震で滅んだ国は無いが、噴火で滅んだ国はある」‥と云われる。(※後渤海国を意味しているらしい) 
二〇一一年二月上旬執筆 

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